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活用事例

蛍光磁粉探傷試験

磁粉探傷試験は、磁気を利用して表面きずや表面近傍のきずを検出する方法です。試験体を磁化し、着色顔料等でコーティングされた微細な磁粉を使用します。磁粉はきずの周りに集まり、集まった磁粉(磁粉模様)は実際のきずの大きさの数倍から数10倍にもなります。

蛍光磁粉探傷試験とは、着色顔料の代わりに蛍光物質をコーティングした磁粉を使用し、暗所で試験面に紫外線を照射してきずを観察する方法です。染色磁粉を用いた検査とは異なりブラックライトと暗室が必要になりますが、よりコントラストが高いきず指示模様を得られるため、微細なきずの検出に適しています。
ただし、ブラックライトが放射する紫外線強度が不足していたり可視光(照度)が多い場合は、きずを見逃してしまう可能性があります。このため、日本工業規格(JIS)では、使用するブラックライトや観察条件等について規定しており、適切な検査を行うために、これらの規格の要求を満たすブラックライトを使用する必要があります。
ここでは、JIS Z 2320-3(非破壊試験-磁粉探傷試験-第3部:装置) が規定するブラックライト等の要求仕様を説明します。

JIS Z 2320-3 非破壊試験-磁粉探傷試験-第3部:装置

JIS Z 2320-3(非破壊試験-磁粉探傷試験-第3部:装置)は、a)可搬形電磁石、b)定置形磁化台、c)専用試験システムの三様式の装置および、磁化・脱磁装置や、紫外線照射装置等について規定しており、次の8つの項目から構成されています。

  1. 適用範囲
  2. 引用規格
  3. 安全予防措置
  4. 装置の様式
  5. 紫外線照射装置
  6. 検出媒体循環システム
  7. 検査室
  8. 脱磁装置
  9. 測定

ここでは、JIS Z 2320-3 (非破壊試験-磁粉探傷試験-第3部:装置)のブラックライトに関連する5(紫外線照射装置)と7(検査室)、そして9.4(観察条件)について簡単に説明します。

5 紫外線照射装置

紫外線照射装置(ブラックライト)は、JIS Z 2323に規定されている、波長が365nm±5nm、かつLEDの場合は半値全幅*が30mm以下のA領域紫外線光源を持つブラックライトを使用します。

また、使用するブラックライトは、周囲温度25℃±5℃(20~30℃)において下記の要件を満たさなくてはいけません。

  • a)検出媒体の飛散に対するフィルタの防護
  • b)設置位置における手持ち装置の危険防護
  • c)ブラックライトの光源から400mmの距離における紫外線放射照度が10W/m²以上
  • d)LEDおよび光ファイバを使用したブラックライトは、試験面で紫外線放射照度が10W/m²以上
  • e)ブラックライトの光源から400mmの距離における可視光照度が20Lux以下
  • f)取っ手(握り部)の表面温度が40℃以下
  紫外線強度 照度
LEDブラックライト 試験面が1,000μW/cm²(10W/m²)以上 光源から40cm距離で20Lux以下
光ファイバを使用したブラックライト 試験面が1,000μW/cm²(10W/m²)以上
LED以外のブラックライト 光源から40cm距離で1,000μW/cm²(10W/m²)以上

7 検査室

きずによる磁粉模様とバックグラウンドのコントラストを確実にするため、周辺可視光の照度を低くした暗室等の検査室で検査を行います。

検査室の提供者は、以下のデータを提供する必要があります。

  • a)A領域紫外線のない場合の可視光の照度
  • b)可燃性の等級
  • c)構造材料
  • d)換気のタイプ
  • e)寸法および出入路

検査室は、少なくとも以下の要件を満たす必要があります。

  • a)可視光照度 ≦ 20Lux
    より強いA領域紫外線を用いて、探傷試験体と同様のきず磁粉模様又は標準試験片の磁粉模様が確認されるらば、20Lux以上の可視光照度であってもよい。
  • b)難燃性材料
  • c)検査員の視野無いに可視光線および/又はA領域紫外線の反射があってはならない。

9.4 観察条件

観察装置の要求仕様は、JIS Z 2323によると記載されています。

*本ページの情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容について保証するものではありません。詳しくは、JIS Z 2320-3を確認して下さい。