非破壊検査(磁粉・浸透探傷)

  1. TOP
  2. 技術資料・活用事例
  3. 非破壊検査(磁粉・浸透探傷)

非破壊検査の手法の1つである蛍光磁粉探傷検査(MT)と蛍光浸透探傷検査(PT)では、蛍光物質を含んだ磁粉または浸透液を使用します。
ブラックライトを照らすと傷に残った蛍光物質が光るため、染色を使用した磁粉探傷や浸透探傷に比べて、微小な傷も発見することができます。

蛍光磁粉探傷試験

磁粉探傷試験は、磁気を利用して表面きずや表面近傍のきずを検出する方法です。試験体を磁化し、着色顔料等でコーティングされた微細な磁粉を使用します。磁粉はきずの周りに集まり、集まった磁粉(磁粉模様)は実際のきずの大きさの数倍から数10倍にもなります。
蛍光磁粉探傷試験とは、着色顔料の代わりに蛍光物質をコーティングした磁粉を使用し、暗所で試験面に紫外線を照射してきずを観察する方法です。染色磁粉を用いた検査とは異なりブラックライトと暗室が必要になりますが、よりコントラストが高いきず指示模様を得られるため、微細なきずの検出に適しています。

蛍光浸透探傷試験

浸透探傷試験は、クラック等の表面きずを検出する方法です。鉄、ステンレス、アルミ等の金属だけでなく、木材等の一部の材料を除くほとんどすべての金属・非金属に適用する事ができ、さらに複雑な形状な部位も検査が可能な、用途が広い検査手法です。
蛍光浸透探傷試験とは、蛍光物質が添加された浸透液を使用し、暗所で試験面に紫外線を照射してきずを観察する方法です。観察のためにブラックライトと暗室が必要になりますが、染色浸透探傷に比べて検出感度が高いため、非常に小さなきずも検出することができます。

日本産業規格(JIS)

ブラックライトが放射する紫外線強度が不足していたり可視光(照度)が多い場合は、きずを見逃してしまう可能性があります。このため、日本産業規格(JIS)の磁粉探傷試験および浸透探傷試験の規格では、ブラックライトや観察条件等についても規定してます。適切な検査を行うために、これらの規格の要求を満たすブラックライトを使用する必要があります。

磁粉探傷試験については、JIS Z 2320-3(非破破壊試験-磁粉探傷試験-第3部:装置 )の項目5(紫外線照射装置)および項目7(検査室)、項目9(測定)にて、ブラックライト(紫外線照射装置)と検査室、観察条件について規定しています。

浸透探傷試験については、JIS Z 2343-1(非破壊試験-浸透探傷試験-第1部:一般通則:浸透探傷試験方法および浸透指示模様の分類 )の項目8(試験手順)で、余剰浸透液の除去確認および観察時の紫外線強度・照度について規定しています。

磁粉探傷試験・浸透探傷試験でのブラックライトや暗室への要求仕様、観察条件は以下を参照ください。