磁粉探傷試験は、磁気を利用して表面きずや表面近傍のきずを検出する方法です。試験体を磁化し、着色顔料等でコーティングされた微細な磁粉を使用します。磁粉はきずの周りに集まり、集まった磁粉(磁粉模様)は実際のきずの大きさの数倍から数10倍にもなります。
蛍光磁粉探傷試験とは、着色顔料の代わりに蛍光物質をコーティングした磁粉を使用し、暗所で試験面に紫外線を照射してきずを観察する方法です。染色磁粉を用いた検査とは異なりブラックライトと暗室が必要になりますが、よりコントラストが高いきず指示模様を得られるため、微細なきずの検出に適しています。
ただし、ブラックライトが放射する紫外線強度が不足していたり可視光(照度)が多い場合は、きずを見逃してしまう可能性があります。このため、日本産業規格(JIS)では、使用するブラックライトや観察条件等について規定しており、適切な検査を行うために、これらの規格の要求を満たすブラックライトを使用する必要があります。
ここでは、JIS Z 2320-3(非破壊試験-磁粉探傷試験-第3部:装置) が規定するブラックライト等の要求仕様を説明します。